誰とも会話をしない日曜日。
コンビにでもスーパーのレジでも「ありがとう」を言う。
最初は意識をして、そうしていた。
今日は発した言葉はそれだけだった。
いつからか、当たり前にそんなことを言う人になっていた。


図書館で少し古い「文藝」を借りた。
芥川賞を取ったという作品が読みたかった。
早く読めない小説だった。
こんな小説が、自分にも書けたらいいだろうに
読み終わった後、ぼんやり思った。


知らない人にありがとうを言える。
自分がしたことがなぜ悪いのか、いまいちピンとこなかったりする。
人と関わって行きたくないと思う。
ああ恋がしたいなと思う。
音楽を聴いて涙が流れる。
テレビに映る、子を亡くした人の顔を見て演技なんじゃないかと疑う。


ずっと繰り返すものじゃなくて、
ずっと変わらないものが欲しい。


言葉で「好きだ」とか「大切だ」と言い合うのは、もういい。
そうだってわかる行動、事実を隣で積み重ねていきたい。
相手にもそうして欲しいと思ってる。
ただ、どうすることが相手にそれを伝える行動になるのか、
自分にはよくわからない。
自分が相手に何をされればそんなふうに実感できるのかも、
よくわからない。